こんにちは。まるもこです。
今回は、Drからよく相談されるコアについてです。
技工士目線でオススメする支台築造コアと選択基準についてお話ししたいと思います。
支台築造とは?
根管治療を終えた歯牙に対して、各種ポストやレジン、または鋳造した金属を用いて欠損した歯質を補填することを支台築造といいます。
その土台をコアといい、いろんな素材で作ることができます。
いちばん強い素材はなに?
ドクターからよく聞かれる質問です。
今回は間接法による支台築造コアを比較していきたいと思います。
コアの素材
メタル、レジン、ファイバーコアなどが多く用いられますが素材の種類が多すぎる、且つ、コアの上に来る被せ物がなんなのかに影響されるので悩んでしまうドクターは多いのではないでしょうか。
今回は曲げ高度、保険点数、特徴をそれぞれ比較してみましょう。
種類 | 曲げ強度 | 保険適用について | 特徴 |
---|---|---|---|
メタルコア | 銀合金 411.7Mpa 金銀パラジウム合金 790Mpa | 主に銀合金、金銀パラジウム合金 ゴールド・白金加金などは自費 | ・強度は高く、鋳造するため適合もよい ・適応範囲が広い 大臼歯に多く用いられる。 ・歯茎の黒ずみや、金属アレルギーのリスクがある ・審美性は悪い。 ・形成状況によっては歯根破折のリスクもある |
ファイバーコア | ・サンメディカル i-TFCルミナス 約120Mpa ・GC ファイバーポスト(φ1.2、φ1.4、φ1.6) 約150Mpa ・ペントロン ファイバークリアポスト4X(テーパー) 約130Mpa ・クラレノリタケ クリアフィル® AD ファイバーポスト 曲げ強度の記載なし ・トクヤマデンタル トクヤマFRポスト 112.2pa | 左の商品以外は保険適用外 1根管あたり1本、大臼歯および小臼歯に使用する場合は、1歯あたり2本まで 3本以上の場合は自費 | ・強度がある芯をいれたレジンコア。 ・ファイバー以外はレジンコアと同等の強度のため、形成に左右される ・値段は材料やメーカーに左右される。 ・審美性は良好。透過性もあるためジルコニアやemaxに適している。 ・ファイバーポストは極めて歯根破折しにくい。 |
レジンコア | 歯科用コンポジットレジン フィラーの含有量などに左右されるため、ここでは目安を表記 100~500Mpa | 保険適用のコンポジットレジン | ・強度が弱い ・経年劣化する。 ・レジンの収縮やリリーフする場合もあるため、メタルに比べて適合が悪い ・歯冠色や白色のため審美性は良い。 |
特別枠【ジルコニアフィラー含有の製品】
ペントロン オックスフォード フローコア ZR
曲げ強度 145MPa-123MPa
歯の状態や患者のニーズによって使い分けが多すぎるなあ。。。
困ったときの選択基準 【4ステップ】
支台築造コアにもいろんな種類のものがあることがわかりましたね。
いろんな商品があるということは、外注に出す歯科技工所によって材料の性質が違う可能性も高いです。
技工所に発注する際はその歯科技工所がなんの材料を使っているのか、それがどんな性質なのか、ある程度知ったうえで発注しないと、思ったのと違うコアが届いてしまうかもしれません。
そこで技工士が「コア」の受注を受けた際に考える素材の選択基準をご説明いたします。
【ステップ1】最も重要視する点はなにか?
重要視する点はその患者様によって大きく違うと思います。
かなり強度が必要なケースや、審美面を重要視されるケース、金属アレルギーの患者様の場合など、おのずと選択肢が決まってきます。
前歯部と臼歯部でメタルかレジンかをこの段階で決めてしまってもいいと思います!
【ステップ2】保険か?自費か?〈保険→ステップ3へ〉〈自費→ステップ4へ〉
多くの場合、保険適用の中から選択されると思いますが、患者さんに自費のコアをいれることを了承できたのであれば製作するコアの選択肢はかなり広がります。
クラウンはメタルだし。。
保険で、メタルでもファイバーでもレジンでも適応症例だな。。という場合はステップ3へ
【ステップ3】保険コア 最後は製作部位で決める
前歯部は審美的要素が強いです。そのため、今はレジン前装冠でも後々ジルコニアなどに代わる可能でもあるため、歯肉の黒ずみなどのリスクをできるだけ避けるためにファイバーコアをオススメします。
なぜレジンコアではないかというと、レジンコア(ファイバー無し)の製作工程による問題です。
歯科技工所によって使うコンポジットレジンは様々ですが、光の透過性に大きく差があります。チェアサイドで使っているコンポジットレジンとは大きく異なり、根が深ければ深いほど光が当たらず未重合になります。もちろん光がまんべんなく当たるように工夫はしますが、圧倒的に未重合であることが多いので適合が悪いことが多いです。いうなれば、表面に出ている部分は封鎖されていても、根の部分はスカスカのことも。。。
一方、ファイバーコアに使うレジンは透過性が高く、厚く築盛しても光が届きやすいです。
また表で示した通り、ファイバーがあることで強度が高くなります。
【ステップ4】自費コア
強度が必要な場合や歯根破折のリスクがない場合はメタルコアを選択します。歯肉の黒ずみのリスクを懸念する場合は、原因になっている銀の含有がないゴールドや白金加金の選択もあります。
自費のファイバーコアは審美面やファイバーの本数3本以上になる場合に選択します。自費の場合はファイバーの本数は多ければ多いほど強度が高くなります。(増えればお値段も上がります)
大臼歯の場合10本くらい入ってしまうことも多く、金額面でギャップが出ないように、ファイバーの本数上限などの記載があると安心です。
まとめ
今回は、間接法における支台築造とその選択基準を紹介しました。
間接法での支台築造コアの種類は以下の通りです
●コアの素材
○メタルコア
○ファイバーコア
○レジンコア
困ったときの選択基準 【4ステップ】は以下の通りです
【ステップ1】最も重要視する点はなにか?
【ステップ2】保険か?自費か?〈保険→ステップ3へ〉〈自費→ステップ4へ〉
【ステップ3】保険コア 最後は製作部位で決める
【ステップ4】自費コア
いかがだったでしょうか。
歯科材料は高頻度で入れ替わり、値段も変動します。
材料選択や素材について考え直すきっかけになると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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